アビスパ福岡の問題点
 

1.チームを支えるのが福岡市と地元企業。
  クラブの成り立ち自体が寄り合い所帯であること。
  幹部が市役所や地元スポンサー企業からの出向者であること。

 
第三セクターという利点を活かし、これまでクラブが学校や地域や市民の中に入り込んで活動している「ホームタウン活動」等は、子供たちのスポーツ振興の点では大いに役立っている。これらはアビスパ福岡が誇るべき活動であるだろう。

しかしながら端的に言うと、クラブ経営や運営に責任を取るべき立場の幹部たちがクラブ経営においては実は誰もリスクを負わない仕組みになっている。

年間十数億円もの予算を抱えて運営するクラブが実体ある監査・評価機関もなく、また経営を司る幹部が一定期間で出向元へ帰り人生を賭けて事業に打ち込めないことは、組織として永遠に未成熟かつ未完成なままであり、この点こそこのクラブの最大の問題点である。
平成18年度株主総会において実行した32億円余りの大幅減資は、それまでの放漫かつ杜撰な経営責任を過去に捨て去り、代わりにスポンサー企業や市民に多大な負担を強いた。誰も責任を取らされることなく。
「クラブ経営が何であるか」
「あるべき姿やクラブビジョンはどうあるべきか」
クラブ経営の骨格となるべきものを棚に上げ、出向元に籍を置きながらわずか2、3年の腰掛け業務で有効で適切な仕事ができるわけがない。

至近の例をとればサガン鳥栖の井川社長の活動・行動ぶりからすれば天と地である。
私たちはクラブ責任者があえて戻る場所を無くしクラブ経営に打ち込むことを望みたい。

5年ぶりにJ1へ復帰した平成18年度のシーズンにおいて、適切かつ有効な手立てを打てない中思った営業収入を得ることができず、集客キャンペーンにおいて「”たった”2万人」という低劣な表現がクラブの幹部の口から出た。
高価な入場料を払い時間を遣り繰りして博多の森に集う家族連れや子供たち。彼らを温かく迎え、リピーターになってもらうことがクラブの使命である。
マーケティングのプロであるならこういう素人以下の表現は絶対に使用しない。

 

2.明示されない中長期ビジョンとブレ続けるチーム強化方針
 
アビスパ福岡は18年度の株主総会において32億円以上の大幅減資を実施した。かつての杜撰で行き当たりバッタリのチーム運営により累積赤字は33億円を超え、その結果、市民やスポンサー企業に多大な負担と迷惑をかけることとなった。このことに誰も責任をとることもなく何の総括さえ果たさず出向社長を交代させることで済ませた。クラブには部内に監査チェック機関もなく、創設時期から無責任、無自覚、無関心の伝統だけが積み重ねられていく。
クラブは変革しなければならない。
しかし変革すべき主体となって動く軸は欠けたままである。組織的にみても出向幹部とプロパー社員との垣根は高く、有用に機能しているとは言い難い。
チーム強化においても18年シーズンは松田監督のシーズン途中の解雇、強化方針のブレ、当該責任者の放蕩ぶりと責任放棄。その結果1年でのJ2降格。5年ぶりのJ1復帰の「J1残留」目標は無駄な強化とともに泡と消えた。そして行き当たりバッタリの施策は一向に改善しない。
クラブに明確なビジョンがあり、そのビジョンに則ってチーム強化が行われるなら後押しするスポンサーもサポーターも納得もしよう。

何もビッグクラブを目指す必要はない。中央のクラブのように豊富な資金を使えるような強豪クラブでなくても良い。私たちは身の丈に合った安定したクラブ経営と、地方のプロチームとして地域の子供たちやファンに夢を与えるチームが欲しい。
「アビスパ福岡」らしいって何だろう。その骨格には揺るぎないアイデンティティ。そして地元の人々に深く愛され、地元出身の若者が育ちやがて日本代表入りや海外チームへ巣立ってく。
そんな夢と誇りが語れるクラブチーム。

 

3.スタジアム風景
  博多の森の屋台村の美味しさは全国でも1,2位を争うくらいの評判を得ている。
しかし博多の森にはミュージアムがない。つわもの共の足跡や記念がない。サッカー文化の底深さは先輩たちへのリスペクトから。
200試合出場記念の選手足型や年度ごとのチーム概要レリーフや、かつての指揮官たちのプロフィール顕彰など。
試合後ともなれば屋台を利用してサポーター同士の交歓。スポンサー様やクラブとの交流の場。
自然に恵まれた公園の緑と広い空。美しいアーチ型のスタジアム。私たちの誇れるスタジアム・博多の森球技場。そこに代々、子や孫たちに受け継ぐべき味わい深いスタジアム風景が欲しい。

 

平成19年2月(文責/HMP・塩屋)

 


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